給与所得とは|副業の税金について税理士が解説Part3

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給与所得について解説していきます。

給与の収入(毎月もらうお給料)が、給与所得というわけではありません。給与所得とは、給与収入から、給与所得控除というものを差し引いたものを指します。給料というのは、通常、経費をつけることができません。そのため特別に、経費は使っていないけれど一定の金額を経費にしてもOKという制度があり、それが給与所得控除となります。

例えば、会社に来ていくスーツや、スキルアップするためのセミナーの参加、書籍の購入など、普段から仕事に関する色々なものに、お金を使うことがありますね。これは経費でもいいのではないかという考え方があるのですが、経費にはできないのです。

そのため、特別に給与から一定の金額を経費とするのがこの制度です。

具体的に、表で見ていきましょう。

給与などの収入金額が左側にありますが、これが増えるにしたがってどんどん控除額が上がっていきます。見ていただくとわかるように、上側の表で、平成28年、平成29年〜令和元年、令和2年分以降とあり、今は令和2年分以降の給与所得控除が使われています。

黄色の部分は、少しずつ減っていっています。令和二年に関しては、基礎控除(自分自身の控除)というのができる所得控除になっているため、10万円増えた影響もあるのですが、給与所得控除は少しずつ減ってきています。給与にかかる税金が少しずつ高くなっているということですね。

具体例を下側の表で見ていきます。例えば、給与収入が1250万円ある人は、平成28年、平成29年、令和2年にどのように変わってきているでしょうか。

平成28年の場合は230万円の給与所得控除があった。そこから社会保険で180万円、基礎控除(自分自身の控除で誰でも設定されている)38万円。税金は、給与所得控除と社会保険と基礎控除が全て差し引かれた金額に対してかかります。これが802万円で、それに対する所得税が120万8600円でした。これが平成29年になると、同じ1250万円の給与収入がある人で、給与所得控除が220万円になり、社会保険と基礎控除は変わらず、課税所得が812万円で、所得税が123万1600円。

つまり1年間で2万3000円上がっています。上昇率は101.9%です。

令和2年は、給与収入は1250万円で、給与所得控除が195万円。社会保険180万円、基礎控除48万円に10万円増えていますが、課税所得は827万円。平成29年に比べて10万円増えています。これに対する所得税が126万6100円。3万4500円上昇しています。平成29年に比べて102.8%増えているということになりますね。

少しずつですが、給与にかかる税金は増えてきているので、給与収入がどんどん増えると税金も少しずつ上がっていきます。同じ収入であったとしても、少しずつ上がっていくという構造になっているのです。

これから給与所得控除がまた下がっていくかもしれません。ですので、パラレルキャリアという、その他の所得で収入を獲得することは、暗にこの税制面でも推奨されていると考えられます。